異端のキャリアから生まれた経営哲学を語る!
かつて世界にその名をとどろかせたソニーは、未曽有の危機に見舞われていた――。
2012年3月期、5000億円を超える大赤字の中でソニー社長の重責を引き受けた著者は、
なにから手をつけ、復活を果たしたのか。
本書では、ソニー再生という難題に挑んだ「異端社長」の知られざる歩みを振り返る。
キャリアの始まりはCBS・ソニーでの音楽事業。
バラバラだったソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)・アメリカを改革し、
次にプレイステーション3の販売不振に悩むSCEを立て直す。
そしてソニー社長となり、巨額赤字に苦しんだ名門企業を再生。
3度のターンアラウンドに成功した「変革のプロフェッショナル」は、
異端ともいえるそのキャリアで何を身につけたのか。
「異見を取り入れろ」
「リーダーはEQが高くあれ」
「痛みを伴う改革は先送りせずやり遂げる」
「社長は自社商品の一番のファンでなければならない」……
いまの時代だからこそ求められる経営哲学を自ら語る。
出典:Amazon
ソニーはパナソニックと並んでとても好きなブランドである。
そのソニーがしばらくの間、凋落していた。
平井一夫氏がソニーの再生を果たし、6年間の退任時には過去最高益を更新した。
その平井元社長の著作である。
必ず勉強になる本と思い読んでみた。
結果、最近読んだ本の中ではダントツで勉強になった。
少しでも自分自身のビジネスに参考にしていきたい。
最初に惹かれた言葉は、『「原点に立ち戻る」まずは会社が置かれている状況を詳しく知ることから始めるのだ。』の部分である。
たくさんの社員との対話を重視されたそうである。
その中からやるべきことを絞り実行していく。
とても勉強になる部分でした。
様々な異見を聞き、解決のイメージを具体化させていく。
とにかくたくさんのヒアリングを重ねなければ解決策は見えてこないと感じました。
次にこの部分、『ちなみに「KANDO」を語ったのは社長に就任してからしばらくの間だけではなく、在任6年間ずっと言い続けた。』である。
ソニーの社長からして何度も同じことを繰り返し伝えていかなくてはいけない。
そこにコミュニケーションの本質を読み取ることができたような気がした。
自分自身も相手に対して1回言ったのに、この間言ったのになんで?と思うことがしばしば。また逆も然り。でもこれが本質ということである。
最後に『それが「量から質への転換」だった。』の部分である。
高度経済成長時代から日本経済の方向性が量を追う経営であり、質を追うといっても最後は量やシェアを追ってしまう。
なかなか抜けきれないのである。
それを転換した。「言うは易く行うは難し」である。
しかもソニーの事業根幹部分であったエレクトロニクス事業のテレビ事業での転換である。
想像を絶する困難さだったと思います。
販売ルートの整理、販売会社からの反発、社内の反発など。
やはりソニーらしさ、高品質高付加価値製品への自信があってこそだと思いました。
余談にはなりますが、私自身が以前仕事でドイツに出張した際に現地の方(ドイツ人かはわかりません)から話しかけられ、「日本人です」と答えた時、その方は「SONY is No.1」と話されていたことが思い出されます。私の所属する会社はソニーでもないし、関係もほとんどないのにその方にとっては日本のイメージなのでしょう。まさにグローバルブランドです。
著者について
平井 一夫
ソニーグループ シニアアドバイザー
1960年東京生まれ。父の転勤でNY、カナダで海外生活を送る。
84年ICU卒業後、CBS・ソニー入社。ソニーミュージックNYオフィス、SCE米国法人社長などを経て、07年SCEI社長兼CEO、ソニー グループ・エグゼクティブ。09年ソニー EVP、11年副社長、12年社長兼CEO、18年会長。19年より現職。