▶『おくりびと』
|レビュースコア(5.00満点)
総合 4.08
Filmarks | 映画.com | Yahoo!映画 | プレシネマ
3.7 3.9 4.2 4.5
|あらすじ
年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか。
旅のお手伝い。NKエージェント!!
「あぁこの広告、誤植だな。"旅のお手伝い"ではなくて、安らかな"旅立ちのお手伝い"。」
求人広告を手にNKエージェントを訪れた主人公・大悟(本木雅弘)は、社長の佐々木(山崎努)から思いもよらない業務内容を告げられる。
それは【納棺(のうかん)】、遺体を棺に納める仕事だった。
戸惑いながらも、妻の美香(広末涼子)には冠婚葬祭関係=結婚式場の仕事と偽り、納棺師の見習いとして働き出す大悟。
美人だとおもったらニューハーフだった青年、幼い娘を残して亡くなった母親、沢山のキスマークでお送り出される大住生のおじいちゃん…そこには、さまざまな境遇のお別れが待っていた!
出典:公式サイト
|レビュー
2008年に公開され、第81回アカデミー賞で外国語映画賞を日本映画として初めて受賞した名作『おくりびと』。
「死」という重いテーマを扱いながらも、ユーモアと厳かな美しさが絶妙なバランスで共存している作品です。
納棺師という職業をこの映画で初めて知りました。
昭和の人間関係の良い部分が時代とともに、希薄に感じているのは私だけでしょうか。
そんな思いを感じさせるとていい映画です。
本木雅弘さんの演技もうまかったし、脇を固める俳優陣も抜群の演技でした。
笑いあり涙ありで、人間ドラマ好きの方には超おすすめです。
・「死」のイメージを覆す、圧倒的に美しい「所作」
この映画の最大の核は、本木雅弘さん演じる主人公・大悟が披露する「納棺(のうかん)の儀式」の圧倒的な美しさです。
それまで世間的にどこか「汚い、忌まわしい」と遠ざけられがちだった職業(納棺師)が、まるで茶道や華道のような洗練された伝統芸能、あるいは芸術的な儀式のように描かれます。
故人の尊厳を守り、遺族の心を癒やしていく一連の丁寧な手つき(所作)は、観ているこちらの背筋まで伸びるような厳かさがあり、それだけで涙がこぼれるほどの説得力を持っています。
・「重いテーマ」を裏切る、絶妙なユーモアと軽快さ
タイトルや題材から「ずっと暗くて泣ける映画」と思われがちですが、実は前半を中心にコミカルな笑いが散りばめられているのが、この作品の素晴らしいところです。
元チェロ奏者の大悟が、求人広告の「旅のお手伝い」という文句に釣られて面接に行き、勘違いしたまま死体を扱う仕事に足を踏み入れてしまうドタバタ感。
山崎努さん演じる社長との、どこか飄々としたやり取りなど、思わずクスッと笑ってしまうシーンが多いため、構えずに物語に引き込まれます。
・「死」を通して浮き彫りになる「生きること(食)」
劇中で非常に印象的に描かれるのが、「食べる」シーンです。
フグの白子を焼いて貪り食うシーンや、大ぶりのフライドチキンを頬張るシーンなど、生きている人間が「命をいただく生々しさ」が強調されます。
「他人の死」に日常的に触れるからこそ、今を生きる自分たちの「生」や「欲」が際立つという演出は、脚本の小山薫堂さん(構成作家・放送作家)ならではの見事な視点です。
・久石譲氏の音楽と、山形の美しい自然
大悟が広大な山形の自然(鳥海山を望むロケーションなど)をバックに、チェロを弾くシーンがあります。
ここで流れる久石譲さんによるチェロを中心とした美しくも切ない旋律が、映画全体の情緒を何倍にも引き上げています。
セリフが多くないシーンでも、音楽と雄大な景色、そして役者の表情だけで、登場人物の葛藤やカタルシス(感情の解放)が痛いほど伝わってきます。
「死」とは、忌み嫌うべき終わりではなく、次の場所への「送り出し(出発)」であるというメッセージが、静かに心に染み渡る傑作です。
周囲の偏見や、広末涼子さん演じる妻との葛藤を乗り越え、大悟が自らの仕事に誇りを持っていく成長物語としても非常に見応えがある作品です。
|監督
滝田洋二郎
|役名 / キャスト
小林 大悟 / 本木雅弘
小林 美香 / 広末涼子
山下 ツヤ子 / 吉行和子
佐々木 生栄 / 山﨑努
上村 百合子 / 余貴美子
平田 正吉 / 笹野高史
画像出典:映画.com
|劇場公開日
2008年9月13日
|上映時間
2時間10分
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