▶『ネクスト・ソサエティ』
|レビュースコア(5.00満点)
総合 4.07
Amazon | honto | プレシネマ
4.1 4.1 4.0
|内容紹介
これまでは経済が社会を動かす原動力だったが、これからは社会の変化が経済を大きく変える。
本書は、そうした変化によってどんな時代がやってくるのか、その様相を描いたものである。
ビジネス界にとって最も大きい変化とは、「若年人口の減少」「労働力人口の多様化」「製造業の地位の変化」の三つの変化がもたらす構造変化である。
「若年人口の減少」は、たんに労働力人口の不足を招くだけでなく、旧来の「市場」「マーケティング」の意味を根本から変える。
正社員が減り、それ以外の雇用形態が大幅に増える「労働力人口の多様化」によって、企業の形そのものが大きく変わる。
あるいは、富と雇用の生み手としての製造業は、その地位の変化によって、もはや経済の唯一の主役ではなくなる。
さらに、ドラッカーが説いてやまない知識労働者の台頭が明らかになってきた。
これらの変化が織り成す次の社会は、いったいどのようなものになるのか。
世界は、いまなお混沌と急激な変化の中にあるが、大きな流れは見えてきた。
経済とともに社会のイノベーションを必要としている日本にとって、本書が投げかけるメッセージの意義は大きい。
ビジネスに携わるすべての人に読んでもらいたい書である。
出典:Amazon
|レビュー
本書の刊行は、2002年になりますが、いまなお示唆に富んだ内容となっています。
ドラッカー氏は言います、「未来について言えることは、二つしかない。第一に未来は分からない、第二に未来は現在とは違う」。
「すでに起こったこと」を観察すれば、そのもたらす未来が見えてくると。
ネクスト・ソサイエティの到来とは、若年人口の減少であり、労働力人口の多様化であり、製造業の変身であり、企業とそのトップマネジメントの機能、構造、形態の変容である。
親日派でもあるドラッカー氏から日本への助言も含まれています。
終身雇用・輸出戦略・官民協調で戦後日本は、経済の成功をもたらしてきました。
ただ、これからは新しい制度・政策・慣行が求められています。
キーワードは、「製造業の生産性向上」と「知識労働者の生産性向上」である。
時代が経っても変わらないビジネス書の古典と思います。
|著者について
ピーター・F・ドラッカー(Peter F. Drucker)
1909年11月19日-2005年11月11日
1909年、オーストリア・ウィーン生まれ。
フランクフルト大学卒業後、経済記者、論説委員をつとめる。
1933年ナチス・ドイツの不興を買うことを承知の論文を発表して、ロンドンへ移住。
マーチャントバンクでアナリストをつとめた後、37年渡米。
ニューヨーク大学教授などを経て、71年、ロサンゼルス近郊のクレアモント大学院大学教授に就任、以降この地で執筆と教育、コンサルティング活動を続けた。
ファシズムの起源を分析して、イギリスの後の宰相ウィンストン・チャーチルの絶賛をうけた処女作『「経済人」の終わり』、GMのマネジメントを研究した『企業とは何か』をはじめ、40冊近い膨大な著作群は、「ドラッカー山脈」とも呼ばれる。
ドラッカー教授の専門領域は、政治、行政、経済、経営、歴史、哲学、心理、文学、美術、教育、自己実現など多方面にわたっており、さまざまな分野に多大な影響を及ぼした。
東西冷戦の終結、高齢化社会の到来、知識社会への転換といった社会の根源的な変化をいち早く示した現代社会最高の哲人であるとともに、マネジメントの体系を確立し、「分権化」「自己目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」などマネジメントスキルのほとんどを生み出したマネジメントの父である。
GEのジャック・ウェルチ、P&Gのアラン・ラフリーなど、ドラッカー教授を師と仰ぐ世界的経営者は多い。
『エクセレント・カンパニー』のトム・ピータース、『ビジョナリー・カンパニー』のジム・コリンズといった著名な著述家たちも、ドラッカー教授の薫陶を受けている。
親日家としても知られる。1934年、ロンドンの街角で雨宿りに偶然入った画廊で目にした日本画の虜となり、室町水墨画などのコレクションを有する。
2005年、あと8日で96歳の誕生日を迎えるという日に永眠。
「20世紀の知的巨人」「マネジメントの父」など、ドラッカー教授を称する言葉はたくさんあるが、本人は自らを社会生態学者と規定した。
生涯を通じた最大の関心事は「社会的存在としての人間の自由と平等」であり、そのために社会、組織、企業はどうあるべきか、一人ひとりの人間は何をなすべきかを問い続けた。
その思想は、モダン(近代合理主義)を超えて、21世紀を支配するポストモダンの旗手である。
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