▶︎『国宝』
|レビュースコア(5.00満点)
総合 4.30
Filmarks | 映画.com | Yahoo!検索 | プレシネマ
4.3 4.2 4.7 4.0
|あらすじ
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく...。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。
出典:公式サイト
|レビュー
本作は、吉田修一さんの同名小説『国宝(上)青春篇』『国宝(下)花道篇』を李相日(リ・サンイル)監督が映画化した、約3時間(175分)に及ぶ重厚な人間ドラマです。
任侠の家に生まれながらも歌舞伎の世界へ飛び込んだ主人公・喜久雄(吉沢亮)と、名門の御曹司として生まれたライバル・俊介(横浜流星)が、芸の深淵を目指して血と汗を流す壮絶な生き様を描いています。
・吉沢亮と横浜流星の「命がけの怪演」
主演二人の演技と、圧倒的な説得力を持つ歌舞伎の所作です。
吉沢亮(喜久雄役): 1年半に及ぶ猛特訓を経て挑んだ女方の美しさと、セリフ以上に「目」や「表情」で孤独と狂気を語る演技が「彼の代表作になった」と高く評価されています。
劇中の演目「曽根崎心中」のお初役で見せる魂の叫びは、多くの観客の涙を誘っています。
横浜流星(俊介役): 血筋という呪縛と才能の壁に苦しみながらも、まっすぐに芸に向き合う姿を熱演。
吉沢さんとの“静と動”、“陰と陽”の対比が見事です。
・3時間を忘れさせる「映像美」と「劇場の再現」
息をのむようなカメラワーク: パルムドール受賞作などを手がけた撮影監督ソフィアン・エル・ファニによる、役者の肌の質感、首筋、指先まで捉えるクローズアップが、登場人物の心理を雄弁に物語っています。
虚実が入り混じる舞台シーン: 客席目線だけでなく、役者目線や舞台袖、奈落(舞台裏の地下スペース)からのダイナミックなアングルが「映画でしかできない表現」として好評です。
美術監督・種田陽平さんによる実在の劇場の緻密な再現も、臨場感をさらに引き上げています。
・「狂いたくても狂えない凡人」の視点
物語は二人の天才のぶつかり合いですが、彼らの近くにいながらもその領域にはいけない周囲の人間(三浦貴大さん演じる竹野など)の、「あんな風に生きられねぇよな」 というセリフに共感したという声も多く見られます。
凡人である観客の視点が劇中に用意されていることで、ただの遠い世界の話ではなく、普遍的な人生の現実として胸に刺さる作品になっていると思います。
歌舞伎の知識がゼロでも、役者の情熱と映像の凄みだけで圧倒されます。
ただ、〇〇年後という形で、時間の経過が早い場面も多々ありましたが、原作文庫本(上)(下)巻合わせて839ページを単一作品として仕上げるには致し方ない部分もあったかと思います。
とても切ない物語ではありますが、日頃それほど馴染みのない歌舞伎という世界を垣間見るにつれ、日本の伝統芸能である歌舞伎自体を知ることはもちろん、人間の心情の核心に迫るような描写がたくさん描かれています。
とても良質なヒューマンドラマ作品と思います。
|メインキャスト(役名/俳優)
喜久雄 / 吉沢亮
大垣俊介 / 横浜流星
春江 / 高畑充希
|劇場公開日
2025年6月6日
|上映時間
2時間55分
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